演奏会レポート

2013.10.20 第一生命ホール

第44回定期演奏会

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イベール:木管五重奏のための3つの小品

Lobby Concert
Fl.西村 泉 Ob.木村 舞子 Cl.室住 淳一 Hr.大野 憲二 Fg.細貝 毅

第1・2・3楽章

ヴィヴァルディ 合奏協奏曲集op.3「調和の霊感」より

Antonio Lucio Vivaldi 《L'estro Armonico》 No.7 and No.10

第7番 4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲ヘ長調 RV567

第1楽章
第2楽章
第3楽章

第10番 4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲ロ短調 RV580

第1楽章
第2楽章
第3楽章

フォーレ 組曲「ドリー」 Op56 (アンリ・ラボー編)

Gabriel Urbain Faure《Dolly》 Suite Op.56

1.子守歌(Berceuse)
2.ミ・ア・ウ(mi-a-ou)
3.ドリーの庭(Le jardin de Dolly)
4.キティー・ヴァルス(Kitty-valse)
5.優しさ(Tendresse)
6.スペインの踊り(Le pas espagnol)

ベートーヴェン 交響曲第2番ニ長調 op.36

Ludwig van Beethoven Symphony No.2 in D major Op.36

アンコール

ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ

ハーモニーのインスピレーション

本日は、バロック・古典・ロマンという各時代において優れた「和声の霊感」を発揮した3人の若き日の出世作をセレクト致しました。
ヴィヴァルディの"L'Estro Armonico"は「和声における創造的なファンタジーのほとばしり、感興あるいは芸術的なインスピレーション」の意味であることから、『調和の霊感』や『調和の幻想』と訳されます。多数の作品を残したバロック音楽の代表作曲家であるヴィヴァルディが名声を確立した初期の出世作であり、それまでのスタイルを打ち破る意欲的な作品集となっています。バロック音楽の清純なハーモニーが弦楽器の名手ヴィヴァルディらしく様々な音色を駆使して表現されます。ベートーヴェンが第2交響曲を書いたのは31歳頃。明るく、エネルギーに溢れています。この作品で交響曲の中間楽章に初めて優美なダンス曲であるメヌエットではなく滑稽でハイスピードな「スケルツォ」を導入したり、極端なpとfの対比を多用するなど、ハイドン的なスタイル、古典的な調性を残しつつも彼の革新的な作風が確立されつつあります。フォーレは、リスト・ベルリオーズ・ブラームスなどロマン派の重鎮が代表作を生み出していたころに青年期を過ごし、古典的なハーモニーのルール(調性)が崩壊して、現代音楽と呼ばれる「難解で美しくない」作品が数多く書かれ、十二音技法などが試みられていた頃に晩年を迎えています。同時代の作曲家達は、ヴァーグナーの創始した「崩壊する調性」にどう対応するのか、自身の立ち位置を明確にすることが求められました。フォーレは、シェーンベルクのように無調に向かうのでもなく、サン=サーンスのように古典に回帰するのでもなく、フランス人らしい不思議な和声を時折見せたり、映画音楽のようにロマンチックでありながらどこか覚めた音楽を作り、調性音楽に留まりながら独特の世界を切り開きました。吟味された微妙な調性と精緻なアンサンブルという、ラヴェルに通じるフランス音楽らしさを確立した時期の作品です。
本日のプログラムを通じ、室内オーケストラの表現力の幅広さを体感していただけると幸いです。