チャイコフスキー
弦楽六重奏曲ニ短調作品70《フィレンツェの想い出》弦楽合奏版
P.I.Tchaikovsky String sextet "Souvenir de Florence" d-moll op.70(string orchestra)
古代ローマ時代、花の女神フローラの町としてフロレンティア(Florentia)と名付けた事が語源とされている。周辺国では、フィレンツェのことを Florence(フローレンス、英語・フランス語)、Florenz(フロレンツ、ドイツ語)、Florencia(フロレンシア、スペイン語)と呼ぶことにもその名残が見られる。
第一楽章:Allegro con spirito
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第二楽章:Adagio cantabile e con moto
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第三楽章:Allegretto moderato
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第四楽章:Allegro vivace
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「フィレンツェの思い出」という副題のついたこの曲の原曲は、弦楽六重奏曲。スタンダードな弦楽四重奏曲(バイオリン2、ビオラ1、チェロ1)に対し、バイオリン2、ビオラ2、チェロ2という編成で、中・低弦がダブルでお役を担う分厚い構成で書かれている。元々は、ペテルブルグ室内楽協会から依頼を受けての作品であり、室内楽に興味の薄いチャイコフスキーは渋々筆をとる。筆は中々進まず、書き始めから最終的に完成するまで5年半の歳月を要した。チャイコフスキーは、オペラ「スペードの女王」の作曲のための旅行で「フィレンツェ」を訪れており、「大変気に入った」らしい。以来、この地に7回も訪れており、複数回の滞在の間に作曲されていることから、この副題を生むきっかけとなった様である。(ということで恐らく、副題と曲の内容は余り関係がなさそうである。暖かいイタリアで気持ち良く滞在し、帰国した初春のロシアで、「寒いぃ・・・やりたくなーい。なんでやらなきゃならないんだろう・・僕・・」という心境で、副題を付けたのだろう。)という余り前向きでない背景の割には、クラシック愛好家の中では絶賛されるこの曲。全楽章に渡りチャイコフスキーらしいメロディーがちりばめられており、また時にはコサックを連想させる田舎臭さが、郷愁を誘う。
しかし華麗なメロディーの裏には、先にあげた弦楽6本の内、セカンドバイオリンとビオラによる大変かつ重厚な支えがあり、まるでシンクロナイズドスイミングのようである(水面下での、あのマラソンランナー張りの体力消耗戦)。だからこそ、大変美しい曲なのである。
第一楽章:Allegro con spirito
ソナタ形式。冒頭から、バイオリンの奏でる第一主題に始まる。躍動感に溢れる3つのエピソードからなる。第二主題は極めて甘美。展開部ではこれらの主題が転調を伴いながら織り上げられ、再現部、コーダへと続き、力強さと速度が頂点に達して終わる。
第二楽章:Adagio cantabile e con moto
三部形式。ゆったりとした序奏の後に、バイオリンの抒情的な第一主題が展開。主題はチェロ、ビオラへと引き継がれる。
第三楽章:Allegretto moderato
哀愁を帯びた主題がビオラで奏でられる。主題はバイオオリン、チェロへと引き継がれ、次第に力強さを増していく。中間部は明るく軽やかであり、主題と好対照を成している。
第四楽章:Allegro vivace
変形したロンド・ソナタ形式。第一主題はテンポの速い民族舞踊曲風の旋律。一方、第二主題は大きなフレーズで甘美。最後は、最高速度で終わる。
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