Fingal's Cave

メンデルスゾーン フィンガルの洞窟

メンデルスゾーン
序曲「フィンガルの洞窟」op.26

Felix Mendelssohn Overture "The Fingal's Cave(Die Hebriden)"  op.26 

『フィンガルの洞窟』(作品26は、フェリックス・メンデルスゾーンが1830年に作曲した演奏会用序曲である。原題は『ヘブリディーズ諸島』(ドイツ語:Die Hebriden )であるが、日本語では通称の『フィンガルの洞窟』の方が多く用いられる。ロ短調の序奏なしのソナタ形式で作曲されている。現在に至るまで、オーケストラの標準的なレパートリーとして盛んに演奏されている。

フィンガルの洞窟

序曲「フィンガルの洞窟」
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本作品の表題である“ フィンガルの洞窟” とは、スコットランドのインナー・ヘブリディーズ諸島のスタファ島に実在する洞窟である。玄武岩の六角形の円柱からなり、これが後に侵食を受け、現在の姿になったとされる。18 世紀のスコットランドの詩人であったジェームズ・マクファーソンの叙事詩『オシアン詩集』によって“フィンガルの洞窟” として知られるようになったというが、“ フィンガル” の由来には諸説があって定かではない。メンデルスゾーンがスコットランドを訪れたのは1829 年、彼が20 歳のときである。彼はこの旅行で本作品の他にもう一つ、交響曲第3番「スコットランド」を着想している。悲劇の女王、メアリ・スチュアートにゆかりのあるエディンバラのホリールード宮殿に立ち寄り、インスピレーションを得たという。両曲とも心臓をわしづかみにされるような憂いのある美しいメロディーが散りばめられ、海をわたる風のような疾走感があり、スコットランドの美しい自然や歴史の重みを想起させる。序曲“ フィンガルの洞窟” は、1枚の風景画,あるいは映像を観ているかのような作品である。そしてヘブリディーズ諸島最南端アイラ島のスコッチ・ウイスキーのスモーキーな味わいがよく似合う(気がする)。序曲ではあるが演奏会用に作曲されたもので、単独で完結する。ビオラ、チェロ、ファゴットが呈示する波を思わせる幻想的な第1主題、吹きすさぶ風のような第2主題、ファゴットとチェロが奏でる温かい光に満ちた第3主題からなる。岩に打ち寄せる波、重い灰色の空、夏の涼しい風、霧のたちこめる草原,光が反射してきらきらと輝く海原。さまざまな景色を思い起こさせる本作品を聴いたワーグナーは、メンデルスゾーンを「第一級の風景画家」と評したという。これは彼がスコットランド旅行の翌年に訪れて作曲した、交響曲第4番「イタリア」にも通じるだろう。余談ではあるが,メンデルスゾーンは古い作曲家の作品を掘り起こし、その価値の再考を促した人物としても知られる。特に,バッハの価値を広く知らしめたという。